CHEMICAL PLANT UNIT CONVERSION GUIDE
化学プラントでは、数値だけでなく「基準・組成・状態」をそろえる
化学プラントのPFD、P&ID、機器仕様書、データシート、SDS、分析表には、 MPa、bar、kg/h、m³/h、Nm³/h、°C、K、wt%、vol%、ppm、mol/L、cPなど多くの単位が使われます。
単位を正しく置き換えても、ゲージ圧と絶対圧、質量流量と体積流量、wt%とvol%、 実流量と標準状態流量を混同すると結果は一致しません。 本記事では、単位換算を物質収支、薬注、計装、ポンプ、熱量計算へつなげて解説します。
1 m³/h = 16.6667 L/min
1 wt% = 10,000 ppm(質量基準)
QUICK ANSWER
結論:単位、基準、物性、流体状態の4点をそろえる
化学プラントの換算では、数字を別の単位へ置き換えるだけでなく、 質量基準か体積基準か、どの温度・圧力での値か、どの組成・密度かを確認します。
UNIT LIST
化学プラントで使う主な単位一覧
| 分類 | 主な単位 | 用途 | 確認する基準 |
|---|---|---|---|
| 圧力 | Pa、kPa、MPa、bar、psi、Torr | 容器、配管、ポンプ、真空 | ゲージ・絶対・差圧、運転・設計・試験 |
| 体積流量 | L/min、m³/h、GPM | 液体移送、循環、冷却 | 温度、粘度、実状態 |
| 質量流量 | kg/h、t/h、kg/s | 原料、製品、蒸気、燃料 | 湿量・乾量、組成 |
| ガス流量 | Nm³/h、Sm³/h、SCFM、SLM | 窒素、空気、燃料ガス | 基準温度・絶対圧・湿度 |
| 温度 | °C、K、°F | 反応、蒸留、熱交換 | 温度か温度差か |
| 濃度 | wt%、vol%、w/v%、ppm、ppb | 原料組成、排水、品質 | 質量・体積・モル基準 |
| モル量 | mol/L、kmol/h、mol% | 反応量論、ガス組成 | 化学種、分子量、全量基準 |
| 密度 | kg/m³、kg/L、g/cm³ | 流量換算、タンク容量 | 温度・圧力・濃度 |
| 粘度 | mPa·s、cP、mm²/s、cSt | ポンプ、配管、撹拌 | 粘度種別、測定温度 |
| 熱量 | W、kW、MJ/h、kJ/kg | 熱交換器、蒸気、冷却 | 比熱、エンタルピー、相変化 |
PRESSURE
圧力単位は換算値だけでなく基準と用途を確認する
同じ0.5 MPaでも、ゲージ圧、絶対圧、差圧では意味が異なります。
1 bar = 100 kPa
1 psi = 6.894757 kPa
1 Torr = 133.322368 Pa
ガス計算・沸点・真空で使用
通常運転時の値。変動幅、サージ、測定位置を確認します。
機械設計上の条件。設計温度との組合せで扱います。
耐圧・気密試験の条件。通常使用値ではありません。
フィルタ、熱交換器、流量計、配管の入口と出口の差です。
PRESSURE TABLE
圧力換算早見表
| MPa | kPa | bar | psi | Torr |
|---|---|---|---|---|
| 0.01 | 10 | 0.1 | 1.45 | 0.08 |
| 0.05 | 50 | 0.5 | 7.25 | 0.38 |
| 0.1 | 100 | 1 | 14.5 | 0.75 |
| 0.2 | 200 | 2 | 29.01 | 1.5 |
| 0.5 | 500 | 5 | 72.52 | 3.75 |
| 1 | 1,000 | 10 | 145.04 | 7.5 |
| 2 | 2,000 | 20 | 290.08 | 15 |
| 5 | 5,000 | 50 | 725.19 | 37.5 |
VOLUMETRIC FLOW
液体の体積流量は時間単位と体積単位をそろえる
1 m³ = 1,000 L
100 L/min = 6 m³/h
Imperial GPMは別係数
配管流速の計算に使用
| m³/h | L/min | US GPM | m³/s |
|---|---|---|---|
| 0.06 | 1 | 0.264 | 0.000017 |
| 0.1 | 1.667 | 0.44 | 0.000028 |
| 0.6 | 10 | 2.642 | 0.000167 |
| 1 | 16.667 | 4.403 | 0.000278 |
| 3 | 50 | 13.209 | 0.000833 |
| 5 | 83.333 | 22.014 | 0.001389 |
| 10 | 166.667 | 44.029 | 0.002778 |
| 30 | 500 | 132.086 | 0.008333 |
| 60 | 1,000 | 264.172 | 0.016667 |
| 100 | 1,666.667 | 440.287 | 0.027778 |
MASS & VOLUME FLOW
kg/hとL/minの変換には密度が必要
kg/hは質量流量、L/minは体積流量です。使用温度・濃度に対応する密度で結び付けます。
3 L/min、1.2 kg/Lなら216 kg/h
密度で体積流量が変わります
| 密度 | 120 kg/hのL/min | 2 L/minのkg/h |
|---|---|---|
| 0.7 kg/L | 2.857 L/min | 84 kg/h |
| 0.8 kg/L | 2.5 L/min | 96 kg/h |
| 0.85 kg/L | 2.353 L/min | 102 kg/h |
| 1 kg/L | 2 L/min | 120 kg/h |
| 1.2 kg/L | 1.667 L/min | 144 kg/h |
| 1.5 kg/L | 1.333 L/min | 180 kg/h |
| 1.8 kg/L | 1.111 L/min | 216 kg/h |
GAS FLOW
Nm³/h・Sm³/h・実m³/hは同じではない
気体体積は温度と絶対圧で変化します。Normal・Standardの定義は仕様書ごとに確認します。
圧力は絶対圧、温度はK
精密計算では圧縮係数Zも考慮
例:100 Nm³/hを0.3 MPaG・40°Cの実流量へ概算
1基準を0°C・0.101325 MPaAと仮定
2実絶対圧:0.3 + 0.101325 = 0.401325 MPaA
3100 × 0.101325/0.401325 × 313.15/273.15
4約28.94 m³/h(実状態、理想気体近似)
TEMPERATURE
°C・K・°Fは「温度」と「温度差」で換算方法が違う
25°C = 298.15 K
100°C = 212°F
68°F = 20°C
ΔT(°F) = ΔT(°C) × 1.8
| °C | K | °F |
|---|---|---|
| -40 | 233.15 | -40 |
| 0 | 273.15 | 32 |
| 20 | 293.15 | 68 |
| 25 | 298.15 | 77 |
| 50 | 323.15 | 122 |
| 80 | 353.15 | 176 |
| 100 | 373.15 | 212 |
| 150 | 423.15 | 302 |
| 200 | 473.15 | 392 |
| 300 | 573.15 | 572 |
CONCENTRATION
wt%・vol%・w/v%・ppmは分子と分母が違う
質量百分率
溶質質量 ÷ 溶液質量 × 100。1 wt% = 10 g/kg。
体積百分率
成分体積 ÷ 混合物体積 × 100。ガス組成にも使用。
質量体積百分率
一般に溶液100 mL中の溶質g数。wt%とは異なります。
モル百分率
成分モル数 ÷ 全モル数 × 100。
同じ基準内での%とppm
| % | ppm | g/kg | 質量分率 |
|---|---|---|---|
| 0.0001% | 1 ppm | 0.001 g/kg | 0.000001 |
| 0.001% | 10 ppm | 0.01 g/kg | 0.00001 |
| 0.01% | 100 ppm | 0.1 g/kg | 0.0001 |
| 0.1% | 1,000 ppm | 1 g/kg | 0.001 |
| 0.5% | 5,000 ppm | 5 g/kg | 0.005 |
| 1% | 10,000 ppm | 10 g/kg | 0.01 |
| 5% | 50,000 ppm | 50 g/kg | 0.05 |
| 10% | 100,000 ppm | 100 g/kg | 0.1 |
PPM & MG/L
1 ppm = 1 mg/Lは条件付きの近似
質量基準の1 ppm(w/w)は1 mg/kgです。mg/Lへは溶液密度を使います。
mg/L = ppm(w/w) × 密度(kg/L)
ppm(w/w) = mg/L ÷ 密度(kg/L)
MOLAR UNITS
mol/L・mol%・kmol/hは物質量を基準にする
化学種を確定して計算
混合物は成分別に計算
mol% = x × 100
mol%とwt%は一致しません
例:0.5 mol/Lの硫酸をg/Lへ換算
H2SO4のモル質量を98.079 g/molとすると、0.5 × 98.079 = 49.039 g/Lです。
DENSITY & VISCOSITY
密度・比重・粘度は温度条件とセットで扱う
SI単位を統一
同じ温度の密度を使用
ポンプ・配管・流量計・撹拌機の選定では、最低温度・通常温度・最高温度での物性を確認します。 非ニュートン流体ではせん断速度によって見かけ粘度が変わります。
MATERIAL BALANCE
物質収支は同じ基準へそろえてから足し引きする
蓄積と反応を含めて収支
入力 – 出力 + 生成 – 消費 = 蓄積
定常・非反応なら:Σṁin = Σṁout
成分収支:Σ(ṁx)in = Σ(ṁx)out
例1:10 wt%薬液を3 L/minで供給
密度1.20 kg/Lなら溶液流量は3 × 1.20 × 60 = 216.0 kg/h。 有効成分は10%なので21.60 kg/hです。
例2:10 m³の水相当液へ100 ppm(w/w)添加
1液量を10,000 kgと概算
2必要有効成分:1.00 kg
310 wt%製剤:10.0 kg
4製剤密度1.10 kg/Lなら約9.09 L
HEAT DUTY
顕熱の熱負荷は質量流量・比熱・温度差から求める
kg/s、kJ/(kg·K)、KならkW
蒸発・凝縮・反応熱に使用
例:2,000 kg/hの水相当液を25 K昇温
比熱4.18 kJ/(kg·K)なら、2,000/3,600 × 4.18 × 25 = 約58.1 kWです。
INSTRUMENTATION
計器レンジ・PLC・画面・警報の単位を一致させる
span = URV – LRV
5 bar = 0.5 MPa
- 伝送器のLRV・URVと工学単位
- PLC・DCSの入力スケール
- 警報・インターロック・トリップ設定
- トレンド・帳票・ヒストリアンの単位
- 校正器・試験成績書・ループ図
DOCUMENT CONTROL
PFD・P&ID・機器データシート・SDSを読み合わせる
- 1PFD・Heat and Material Balance
流量、組成、温度、圧力、相、収支基準を確認します。 - 2P&ID
タグ、配管クラス、計器、弁、制御、ドレン・ベントを確認します。 - 3機器データシート
Normal、Rated、Design、Maximum、Minimum条件を区別します。 - 4SDS・物性表
密度、粘度、蒸気圧、引火点、腐食性、反応性と測定条件を確認します。 - 5分析・品質規格
濃度基準、測定法、乾量・湿量、検出限界を確認します。
単位換算結果だけで、圧力容器、危険物、高圧ガス、反応性物質、可燃性・有害物質の条件を決定しないでください。 法令、適用規格、SDS、HAZOP・リスクアセスメント、承認図書、変更管理を優先してください。
PRACTICAL EXAMPLES
化学プラントの実務計算例
0.8 MPaをbar・psiへ
8 bar、約116.03 psi
圧力基準も併記
5 m³/hをL/minへ
5 × 16.666667
約83.33 L/min
3 L/minをkg/hへ
密度1.20 kg/L
216.0 kg/h
50°CをK・°Fへ
323.15 K、122°F
温度差は別式
0.02 wt%をppmへ
0.02 × 10,000
200 ppm(w/w)
250 ppmをmg/Lへ
密度1.15 kg/L
287.5 mg/L
0.5 mol/L硫酸
0.5 × 98.079
49.039 g/L
液体の加熱負荷
2,000 kg/h、ΔT=25 K
約58.1 kW
COMMON MISTAKES
化学プラントの単位換算でよくある間違い
MPaGとMPaAを区別しない
ガス計算、沸点、蒸気圧、真空では絶対圧が必要です。
設計圧力と運転圧力を同じにする
Normal、Maximum、Design、Testを区別します。
kg/hとL/minを密度なしで換算する
質量と体積の変換には密度が必要です。
Nm³/hと実m³/hを同じにする
基準温度・絶対圧と実状態を照合します。
気体計算へ°Cをそのまま使う
温度比にはKを使います。
温度差へ273.15を足す
1 K差と1°C差は同じ大きさです。
wt%とvol%を同じにする
密度と混合条件が必要です。
1 ppmを常に1 mg/Lとする
密度補正と基準の確認が必要です。
mol%とwt%を同じにする
成分の分子量が異なります。
物性の温度条件を省く
密度・粘度・蒸気圧は温度で変化します。
画面表示だけ単位変更する
計器、PLC、警報、帳票、校正資料を更新します。
換算だけで材質・安全性を判断する
SDS、腐食性、反応性、法令、設計基準を確認します。
CHECKLIST
仕様書と計算書の確認チェックリスト
- 元の数値・単位・タグ・資料版数を記録した
- ゲージ圧・絶対圧・差圧を区別した
- 運転・最大・設計・試験条件を区別した
- 質量・実体積・基準体積流量を区別した
- ガス流量の基準温度・圧力・湿度を確認した
- 気体計算に絶対圧とKを使用した
- 密度・粘度の温度と濃度を確認した
- wt%・vol%・w/v%・mol%を区別した
- ppmの質量・体積・モル基準を確認した
- 物質収支を同じ時間・質量・モル基準へそろえた
- 純度・含水率・収率・反応当量を確認した
- 計器レンジ・警報・トリップの単位を一致させた
- PFD・P&ID・SDS・データシートを読み合わせた
- 法令・規格・変更管理・安全審査を確認した
SOURCES & EDITORIAL
参考資料・運営者情報
主な参考資料
- NIST Special Publication 811
- NIST: Pressure and Gas Flow Unit Conversions
- IUPAC Green Book
- IUPAC Gold Book
- OSHA 1910.119 Process Safety Management
単位換算はNIST、物理化学量・濃度・モル量はIUPACの公開情報を基礎に整理しています。
記事の利用上の注意
本記事は単位確認と概算のための一般情報です。 圧力設備、反応設備、危険物、高圧ガス、排水・排ガス、食品・医薬品工程では、 最新の法令、規格、SDS、承認図書、分析方法、専門技術者の判断を優先してください。
FAQ
化学プラントの単位換算でよくある質問
Q1. 1 MPaは何barですか?
1 MPaは10 barです。
Q2. kg/hとL/minは直接変換できますか?
密度が必要です。L/min = kg/h ÷ 密度(kg/L) ÷ 60です。
Q3. Nm³/hとm³/hは同じですか?
同じではありません。Normal条件と実状態を区別します。
Q4. 気体流量換算にゲージ圧を使えますか?
圧力比には絶対圧を使います。
Q5. 25°Cは何Kですか?
298.15 Kです。
Q6. 1 wt%は何ppmですか?
同じ質量基準なら10,000 ppm(w/w)です。
Q7. 1 ppmは1 mg/Lですか?
希薄な水溶液では近似できますが、厳密には密度が必要です。
Q8. wt%とvol%は変換できますか?
密度、温度、混合状態が分かれば計算できる場合があります。
Q9. mol/Lからg/Lへの式は?
g/L = mol/L × モル質量(g/mol)です。
Q10. cPとcStは同じですか?
同じではありません。密度を介して関係します。
Q11. 物質収支では体積流量をそのまま足せますか?
密度や混合収縮の影響があるため、質量またはモル基準へ統一します。
Q12. 換算後に残す情報は?
元値、単位、圧力基準、温度、密度、濃度基準、組成、資料名・版数です。
SUMMARY
まとめ:単位換算を物質収支と仕様条件へつなげる
- 1 MPa = 10 bar = 1,000 kPa
- 圧力はゲージ・絶対・差圧、運転・設計・試験を区別する
- 1 m³/h = 16.6667 L/min
- kg/hとL/minの変換には密度が必要
- ガス流量はNormal・Standard・Actualを区別する
- 気体計算は絶対圧とKを使用する
- wt%・vol%・w/v%・mol%は定義が異なる
- 1 wt% = 10,000 ppm(w/w)
- 1 ppm = 1 mg/Lは密度約1 kg/Lでの近似
- 物質収支は質量またはモルなど同じ基準へ統一する
- 単位変更時は計器・PLC・警報・帳票・図書を一括確認する
UNIT CONVERSION APP
プラント資料の単位をまとめて確認したい方へ
圧力・流量・温度の単発換算は、この記事の式と早見表で確認できます。 複数の仕様書でMPa、bar、L/min、m³/h、°C、Kなどを繰り返し扱う場合は、単位換算アプリ「MyUnit」も利用できます。
既存単位の一括換算、カスタムカテゴリ・単位、複数ステップの換算ルール、CSV出力に対応しています。 密度・濃度・標準状態を伴う換算では、元条件を確認したうえでカスタム設定を使用してください。




