Pump Catalog Comparison Guide

ポンプの流量を比較するときは、L/min・m³/h・GPMを同じ単位へ変換するだけでは足りません。 カタログの「最大流量」「定格流量」「性能曲線上の流量」は意味が異なり、揚程、回転数、電源周波数、羽根車径、 液体の密度・粘度、吸込条件が違えば、同じ型式でも実際の流量は変わります。

対象:ポンプ・設備・配管・水処理・薬液供給 最終確認:2026年7月12日 基準:液体ポンプのカタログ比較
先に結論
  • 流量単位をL/min・m³/h・US GPMなど同じ基準へそろえる
  • 最大流量と最高揚程は、通常は同時に得られる性能ではない
  • 要求流量における揚程・効率・軸動力・NPSHRを性能曲線から読む
  • 50Hz/60Hz、回転数、羽根車径、液温、密度、粘度が同じ条件か確認する
  • 候補ポンプは、設備側のシステム曲線との交点である運転点で比較する

カタログ表の流量だけを横並びにせず、「その流量が、どの揚程・回転数・液体条件で出る数値か」まで確認することが重要です。

ポンプ流量を比較する前に確認する5項目

同じ「100 L/min」と書かれたポンプでも、必ずしも同じ設備条件で100 L/minを送れるとは限りません。 カタログの流量値を比較する前に、次の5項目を一組として確認します。

01

流量単位

L/min、m³/h、GPM、L/hなど、体積単位と時間単位をそろえます。

02

揚程・圧力

その流量が、何mの揚程または何kPaの差圧で得られるかを確認します。

03

運転条件

周波数、回転数、羽根車径、バルブ開度、台数、直列・並列条件を確認します。

04

液体条件

試験液、密度、粘度、液温、固形物、腐食性、気泡の有無を確認します。

カタログ値は「条件付きの性能値」です。 型式一覧表に最大流量だけが掲載されていても、実際の選定では詳細な性能曲線、仕様注記、試験条件、使用可能範囲まで確認します。 一覧表は候補を絞るための入口であり、最終選定の根拠には性能曲線とメーカー仕様を使います。

Compare Correctly

比較できる組み合わせ

同じ液体条件、同じ回転数、同じ羽根車径で、要求流量における揚程・効率・動力・NPSHRを比較します。 数値の定義と試験条件がそろっていれば、ポンプ間の違いを判断しやすくなります。

Do Not Compare

そのまま比較できない組み合わせ

50Hzの最大流量と60Hzの定格流量、水での性能と高粘度液での要求性能、ゼロ揚程付近の流量と実設備の運転流量は、 数字だけを横並びにしても正しい比較になりません。

ポンプで使う流量単位|L/min・m³/h・GPM・L/h

液体ポンプでは、一定時間に送る体積を表す体積流量が一般的です。 小型ポンプや薬液ポンプではmL/min・L/h、設備用ポンプではL/min・m³/h、米国系カタログではGPMがよく使われます。

単位 読み方 主な用途 確認点
L/min リットル毎分 冷却水、循環水、小中型ポンプ、流量計 国内設備で使いやすい基準単位
m³/h 立方メートル毎時 設備配管、給排水、大型ポンプ、プラント 1 m³ = 1,000 L、1 h = 60 min
US GPM 米ガロン毎分 米国系ポンプ、冷却装置、海外仕様書 1 US gal = 3.785411784 L
Imperial GPM 英ガロン毎分 英国系資料、古い設備資料 1 Imp gal = 4.54609 L。US GPMと区別
L/h リットル毎時 薬液注入、定量ポンプ、低流量供給 1 L/min = 60 L/h
mL/min ミリリットル毎分 微量送液、分析装置、実験装置 1 L/min = 1,000 mL/min
kg/h キログラム毎時 薬液、原料、プロセス流体 質量流量。体積流量との換算には密度が必要

基本の換算式

L/min → m³/h m³/h = L/min × 0.06
m³/h → L/min L/min = m³/h × 16.6667
US GPM → L/min L/min = US GPM × 3.785411784
L/min → US GPM US GPM = L/min × 0.264172052
L/min → L/h L/h = L/min × 60
L/min → mL/min mL/min = L/min × 1,000
1 m³/h = 16.6667 L/min = 4.40287 US GPM
1 US GPM = 3.78541 L/min = 0.227125 m³/h

実務資料では、換算途中で丸めず、最終表示時に必要な桁数へ丸めると誤差の積み上がりを抑えられます。

GPMはガロンの種類を確認してください。 10 US GPMは約37.85 L/minですが、10 Imperial GPMは約45.46 L/minです。 同じ「10 GPM」でも約20%の差があるため、メーカー国、注記、単位定義を確認します。

ポンプ流量の換算早見表

カタログを見比べるときに使いやすいよう、L/min、m³/h、US GPMを同じ表にまとめます。 GPMはUS gallonを前提にしています。

L/min m³/h US GPM L/h
0.10.006約0.02646
0.50.030約0.13230
10.060約0.26460
50.300約1.321300
100.600約2.642600
201.200約5.2831,200
503.000約13.2093,000
1006.000約26.4176,000
20012.000約52.83412,000
50030.000約132.08630,000
1,00060.000約264.17260,000

m³/hを基準にした早見表

m³/h L/min US GPM 代表的な流量感
0.1約1.67約0.440小流量循環・薬液
0.5約8.33約2.201装置内循環
1約16.67約4.403小型設備・冷却
350.00約13.209設備用小中型ポンプ
5約83.33約22.014循環水・洗浄
10約166.67約44.029中型設備配管
30500.00約132.086大型循環・給排水
601,000.00約264.172大型ユーティリティ

Conversion Example

例:海外ポンプの25 US GPMを国内資料へ換算

25 × 3.785411784 = 94.6353 L/min 94.6353 × 0.06 = 5.67812 m³/h

25 US GPM ≒ 94.6 L/min ≒ 5.68 m³/h

ただし、これで分かるのは流量値の読み替えだけです。候補ポンプとして成立するかは、25 GPM付近で必要揚程、効率、軸動力、NPSHRを満たすか確認します。

最大流量・定格流量・実流量は何が違う?

ポンプカタログで最も注意したいのが、流量値の定義です。 同じ単位に換算できても、「最大」「定格」「推奨範囲」「実際の運転点」では意味が異なります。

表記例 一般的な意味 比較するときの注意
最大流量
Max. flow
カタログ上で得られる最大側の流量。低揚程側や特定条件で示されることが多い 実設備の必要揚程では大きく低下する可能性がある
最高揚程
Max. head
流量がほぼゼロの締切点付近での最大揚程 最大流量と同時に得られる値ではない
定格流量
Rated flow
指定された定格条件・設計点での流量 定格揚程、回転数、液体、周波数をセットで確認
公称流量
Nominal flow
製品分類や代表値として示す流量 保証値か代表値か、許容差があるかを注記で確認
推奨流量範囲
Recommended range
効率、振動、温度上昇、寿命などを考慮した使用範囲 単に曲線上で運転可能でも、推奨範囲外の場合がある
最小連続安定流量
Minimum continuous stable flow
連続運転時に安定性や信頼性を確保するための下限流量 低流量運転や締切運転を長時間続けない
実流量・運転流量
Actual flow
ポンプ曲線と設備側システム曲線の交点で実際に流れる量 配管・バルブ・液面・フィルタ汚れにより変動する
「最大流量100 L/min・最高揚程30 m」は、100 L/minで30 mを出せるという意味ではありません。 遠心ポンプでは一般に、流量が増えるほど揚程が下がります。最大流量は曲線の右側、最高揚程は流量ゼロ付近の左側に位置し、別々の運転点です。

保証値・代表値・参考値も区別する

カタログには、性能保証範囲、標準値、代表値、参考値、設計値などが混在することがあります。 選定仕様や受入検査へ使う数値は、保証条件、許容差、試験規格、測定位置、試験液温、電源条件まで確認します。 特に小型ポンプ、定量ポンプ、チューブポンプでは、吐出圧、チューブ材質、液温、粘度、電圧による流量差が大きい場合があります。

性能曲線で「その揚程における流量」を読む

遠心ポンプの性能曲線では、横軸に流量Q、縦軸に揚程HをとるQ-H曲線が中心になります。 同じ図には効率、軸動力、NPSHR、羽根車径、回転数が併記されることがあります。 DOEやポンプメーカーの資料でも、ポンプ選定は流量と揚程の組み合わせを性能曲線上で確認する考え方が基本です。 [2][4]

ポンプ性能曲線とシステム曲線の模式図 流量が増えるほど低下するポンプ曲線と、流量が増えるほど上昇するシステム曲線が交差する点を運転点として示す模式図。 流量 Q 揚程 H ポンプQ-H曲線 システム曲線 運転点 実流量 実揚程
模式図:ポンプ曲線と設備側のシステム曲線が交わる位置が実際の運転点です。実製品の曲線はメーカー資料で確認してください。

運転点は配管条件で移動する

設備側のシステム曲線は、液面の高低差、タンク圧力差、配管長、配管径、継手、バルブ、フィルタ、熱交換器などの損失から決まります。 バルブを絞る、フィルタが詰まる、配管径を細くする、といった変化で抵抗が増えると、運転点は低流量側へ移動します。 反対に抵抗が小さくなると高流量側へ移動し、軸動力やNPSHRが増える場合があります。

Q-H Curve

流量と揚程

要求流量の位置から上へたどり、Q-H曲線との交点で得られる揚程を読みます。逆に必要揚程から右へたどって流量を読むこともできます。

Efficiency

効率とBEP

最高効率点BEP付近は、一般に効率と運転安定性の面で重要です。推奨運転範囲や許容運転範囲はメーカー資料を優先します。

Power

軸動力・モーター

運転範囲全体で必要軸動力がモーター容量を超えないか確認します。曲線がP2、BHP、入力電力のどれを示すかも確認します。

NPSHR

吸込性能

要求流量位置のNPSHRを読み、設備側のNPSHAがメーカー指定の余裕を含めて上回るようにします。

50Hz・60Hz・回転数・羽根車径が違うと流量も変わる

ポンプカタログでは、同じ型式でも50Hzと60Hz、異なる回転数、複数の羽根車径ごとに別の性能曲線が示されることがあります。 流量値だけを抜き出さず、曲線の前提条件を確認します。

条件 流量への影響 カタログで見る場所
電源周波数 50Hz/60Hz 誘導電動機の回転速度が変わり、ポンプ性能も変わる 周波数別の性能表、モーター仕様、回転数
回転数 rpm 同じポンプ形状なら、回転数上昇で流量・揚程・動力が変化 各曲線のrpm表記、インバータ範囲
羽根車径 羽根車径が大きい曲線ほど高い揚程・流量側になる傾向 曲線上のdiameter、trim、impeller size
ポンプ台数 並列では流量側、直列では揚程側の性能が変化 単台曲線か合成曲線か、同時運転台数
インバータ周波数 速度制御により運転点を調整できる 最低・最高周波数、モーター冷却、最低流量

回転数が変わる場合の相似則

同じポンプ形状・同じ羽根車径で回転数だけが変わる場合、概算にはポンプの相似則が使われます。 ただし、効率、粘度、キャビテーション、モーター特性、制御範囲などの影響があるため、最終的にはメーカーが提示する速度別曲線を使います。

流量と回転数 Q₂ / Q₁ ≒ n₂ / n₁
揚程と回転数 H₂ / H₁ ≒ (n₂ / n₁)²
動力と回転数 P₂ / P₁ ≒ (n₂ / n₁)³
記号 Q:流量、H:揚程、P:動力、n:回転数

Affinity Law Example

例:回転数を3,000 rpmから2,500 rpmへ下げる概算

回転数比 = 2,500 ÷ 3,000 = 0.8333 流量比 ≒ 0.8333 揚程比 ≒ 0.8333² = 0.6944 動力比 ≒ 0.8333³ = 0.5787

元の運転点が100 L/min・30 m・2.0 kWなら、単純概算では約83.3 L/min・20.8 m・1.16 kWです。 実際の運転点はシステム曲線との交点で決まり、効率も変化するため、速度別曲線で再確認します。

50Hzから60Hzへ単純に20%増えるとは限りません。 モーター極数、実回転数、ポンプ設計、電源仕様、メーカーによる羽根車調整が異なる場合があります。 周波数だけで補正せず、該当する50Hz・60Hzの性能曲線を使ってください。

遠心ポンプと容積式ポンプでは流量の見方が違う

「ポンプ流量」といっても、ポンプ方式によって圧力・揚程に対する流量特性が異なります。 遠心ポンプの読み方をそのまま定量ポンプやギヤポンプへ当てはめないことが大切です。

Rotodynamic Pump

遠心ポンプ

  • 流量は揚程・配管抵抗によって大きく変わる
  • Q-H曲線とシステム曲線の交点が運転点
  • BEP、効率、軸動力、NPSHRを曲線で確認
  • 水以外では密度・粘度補正が必要になる場合がある

Positive Displacement Pump

容積式ポンプ

  • 理論流量は1回転あたり容積と回転数に強く関係する
  • 圧力上昇で内部漏れ・スリップが増え実流量が低下する場合がある
  • 粘度、クリアランス、摩耗、脈動が流量へ影響する
  • 吐出側閉止に備えリリーフ弁などの保護が必要

定量ポンプはストローク条件も確認する

ダイヤフラム式やプランジャ式の定量ポンプでは、最大吐出量だけでなく、ストローク長、ストローク数、吐出圧、背圧、液温、粘度、ガスの発生、 バルブ材質、流量調整可能範囲、再現性・精度の定義を確認します。 「50%設定」が必ず最大流量の正確な50%になるとは限らないため、メーカーの流量特性と校正条件を確認します。

容積式ポンプの吐出側を閉止したまま運転しないでください。 圧力が急上昇し、配管・ポンプ・シールの破損につながるおそれがあります。リリーフ弁、圧力スイッチ、バイパスなど、メーカーが指定する保護対策を設けます。

密度・粘度・液温がカタログ流量に与える影響

多くの一般的な遠心ポンプ性能曲線は、清水など指定された試験液と温度条件を基準にしています。 実液が薬液、油、溶剤、スラリー、高温水などの場合は、水のカタログ流量をそのまま適用できないことがあります。

密度|揚程は同じでも圧力と動力が変わる

遠心ポンプが液体へ与える揚程mは、理想的には密度によらず同じ考え方で扱えます。 一方、同じ揚程でも圧力差は密度に比例し、必要な水動力も密度に比例します。

圧力差 Δp = ρ × g × H
水動力 Ph = ρ × g × Q × H

ρ:密度 kg/m³、g:重力加速度 m/s²、Q:体積流量 m³/s、H:揚程 m

Density Example

例:同じ20 mの揚程を水と比重1.2の液体で比較

水:Δp ≒ 1,000 × 9.80665 × 20 = 196 kPa 比重1.2:Δp ≒ 1,200 × 9.80665 × 20 = 235 kPa

揚程はどちらも20 mでも、圧力差と必要動力は比重1.2の液体の方が約20%大きくなります。 モーター容量やポンプ耐圧を確認するときは密度を反映します。

粘度|流量・揚程・効率が低下する場合がある

粘度が高い液体では配管損失が増え、遠心ポンプ自体の流量・揚程・効率も清水時より低下し、必要動力が変化する場合があります。 高粘度液ではメーカーの粘度補正資料や選定ソフトを使用し、ポンプ方式の変更も検討します。 KSBの技術資料でも、水の性能曲線を粘性液向けに補正する考え方が示されています。[7]

液体条件 主な影響 確認する情報
高密度・高比重 同じ揚程でも圧力と動力が増える 密度、比重、モーター容量、軸動力、耐圧
高粘度 流量・揚程・効率低下、配管損失増加 動粘度・粘度、温度、補正曲線、ポンプ方式
高温 蒸気圧上昇、密度・粘度変化、材料・シール制限 液温上限、蒸気圧、NPSHA、シール材、冷却
固形物・スラリー 摩耗、詰まり、性能低下、沈降 濃度、粒径、材質、通過径、流速
気泡・揮発性液体 呼び水不良、キャビテーション、流量不安定 脱気、吸込配管、液温、蒸気圧、ポンプ形式
腐食性液体 接液部・シールの劣化 濃度、温度、材質適合性、漏れ対策

体積流量と質量流量を変換する場合

質量流量 kg/h = 体積流量 m³/h × 密度 kg/m³

たとえば6 m³/hの液体を密度1,200 kg/m³で送る場合、質量流量は7,200 kg/hです。 水を1,000 kg/m³として計算した6,000 kg/hとは20%異なります。 薬液使用量、原料投入量、熱収支、タンク消費量を計算するときは、使用温度での密度を使います。

吸込条件が不足すると、カタログ流量まで出ないことがある

吐出側の流量・揚程が条件を満たしていても、吸込側の圧力が不足するとキャビテーション、振動、騒音、性能低下、損傷につながります。 NPSHは遠心ポンプの吸込性能を評価する重要な指標です。[6]

NPSHA

設備側で利用できるNPSH

タンク内圧、大気圧、液面高さ、吸込配管損失、液体の蒸気圧などから決まります。 液温上昇、液面低下、フィルタ詰まりで悪化します。

NPSHR

ポンプが要求するNPSH

メーカーの試験に基づく要求値で、流量によって変わります。 性能曲線上の要求流量位置で読み取ります。

NPSHA > NPSHR + メーカー・設計基準で求める余裕

必要な余裕は、ポンプ種類、運転変動、液体、用途、規格、メーカー方針で異なります。 一律の固定値だけで判断せず、メーカーの選定基準と設備設計基準を優先します。

NPSHAを下げる要因

  • 吸込液面が低下する
  • 吸込配管が長い・細い
  • 吸込側バルブやストレーナの損失が大きい
  • 液温が上がり蒸気圧が高くなる
  • 設置場所の標高が高い
  • タンク内が負圧になる

確認する対策

  • ポンプを液面に近づける・押込みにする
  • 吸込配管を太く短くする
  • 曲がり・バルブ・ストレーナ損失を減らす
  • 高温時・最低液面時で計算する
  • 要求流量位置のNPSHRを読む
  • メーカー指定の余裕を確保する

実務例|2台のポンプカタログを比較する手順

国内設備で必要な条件が80 L/min・全揚程24 m、送液は常温の水、電源は50Hzとします。 海外ポンプAはUS GPM表記、国内ポンプBはm³/h表記です。

要求流量80 L/min
要求全揚程24 m
液体常温の水
電源50 Hz
運転連続運転
吸込条件NPSHA 4.5 m
1

要求流量を共通単位へ換算

80 L/min × 0.06 = 4.8 m³/h 80 L/min × 0.264172052 = 21.13 US GPM

比較基準は、80 L/min = 4.8 m³/h = 約21.1 US GPMです。

2

一覧表の最大流量ではなく50Hz性能曲線を選ぶ

ポンプAが「最大35 GPM」、ポンプBが「最大7 m³/h」でも、最大流量だけでは判断しません。 Aは50Hz相当の回転数曲線、Bは50Hz曲線を選び、該当する羽根車径を確認します。

3

要求流量における揚程を読む

性能曲線で21.1 GPMまたは4.8 m³/hの位置を確認します。 仮にポンプAが26 m、ポンプBが23 mなら、Aは要求24 mを満たしますが、Bは不足します。 Bの最大流量が大きくても、要求運転点では候補になりません。

4

効率・軸動力・モーター容量を確認

ポンプAが要求点付近で効率72%、軸動力0.44 kWとします。 モーター容量は始動・運転範囲・比重・サービスファクターなどメーカー基準を含めて選び、 曲線右側へ運転点が移動しても過負荷にならないか確認します。

5

NPSHRと吸込余裕を確認

要求点でポンプAのNPSHRが2.6 mなら、NPSHA 4.5 mとの差は1.9 mです。 この差がメーカーおよび設備設計基準の必要余裕を満たすか確認します。 最低液面、高温時、ストレーナ汚れ時も再計算します。

6

材質・シール・使用範囲を確認して最終決定

流量・揚程だけでなく、接液材、メカニカルシール、最高液温、許容圧力、連続運転可否、騒音、保守性、予備品、電源、設置寸法を確認します。 最終選定はメーカーへ実液・設備条件を提示して確認します。

この比較例のポイント
  • 単位換算は候補比較の最初の工程
  • 必要流量における揚程が要求値を満たすか確認
  • 最大流量が大きいポンプが適合するとは限らない
  • 効率、軸動力、NPSHR、推奨運転範囲も同じ流量位置で読む
  • 最悪条件と実液条件を含めてメーカー確認する

ポンプカタログ比較でよくある間違い

01

最大流量だけでポンプを選ぶ

最大流量は低揚程側の値であることが多く、実設備の必要揚程では流量が不足する場合があります。

02

最大流量と最高揚程を同時性能だと思う

通常は性能曲線の別々の端にある値です。要求流量・要求揚程の交点で確認します。

03

US GPMとImperial GPMを混同する

1 GPMあたり約3.785 Lと約4.546 Lで差があります。ガロンの定義を確認します。

04

GPMとGPHを見間違える

GPMは毎分、GPHは毎時です。60 GPH = 1 GPMで、時間基準が60倍異なります。

05

50Hzと60Hzの数値を混ぜる

回転数と性能が異なります。使用地域・電源・モーター仕様に合う曲線を選びます。

06

羽根車径が違う曲線を比較する

同じ型式でも羽根車径やトリムにより流量・揚程・動力が変わります。

07

水の性能を高粘度液へそのまま使う

粘度上昇で流量・揚程・効率が低下し、配管損失も増える場合があります。

08

質量流量を密度なしで換算する

kg/hとm³/hの換算には液温を含む密度条件が必要です。

09

軸動力とモーター入力を混同する

P2、BHP、motor inputなど、曲線が示す動力の定義を確認します。

10

NPSHRを最大流量位置だけで見る

NPSHRは流量によって変化します。実際の要求流量・最大運転流量位置で読みます。

11

配管損失を固定値だと思う

摩擦損失は流量とともに大きく変わります。候補ポンプごとに運転点を再確認します。

12

一覧ページだけで最終選定する

詳細曲線、注記、材質、温度範囲、許容運転範囲、メーカー確認が必要です。

ポンプ流量・カタログ比較チェックリスト

要求仕様

  • 通常・最小・最大流量を分けた
  • 連続・間欠・ピーク運転を確認した
  • 全揚程を高低差・圧力差・損失から求めた
  • 液体名、濃度、温度、密度、粘度を整理した
  • 最低液面・最高液温など最悪条件を確認した
  • 必要な流量調整範囲を決めた

単位換算

  • L/min・m³/h・GPMを同じ単位へそろえた
  • US GPMかImperial GPMか確認した
  • 毎分と毎時を取り違えていない
  • kg/h換算に正しい密度を使った
  • 換算途中で過度に丸めていない
  • 元単位と換算後単位を併記した

性能曲線

  • 使用周波数・回転数の曲線を選んだ
  • 羽根車径・トリムを確認した
  • 要求流量で必要揚程を満たす
  • 推奨運転範囲・BEPとの位置を確認した
  • 効率と軸動力を要求点で読んだ
  • 最大運転流量でもモーター過負荷にならない

吸込・実液・製品仕様

  • NPSHAがNPSHRを必要余裕込みで上回る
  • 高粘度液の補正を確認した
  • 材質・シールが液体と温度に適合する
  • 連続運転・最低流量・締切制限を確認した
  • 配管口径・接続・設置寸法・電源が合う
  • 最終条件をメーカーへ提示して確認した
本記事は、単位換算とカタログ比較の一般的な確認手順を整理したものです。 実際のポンプ選定、配管・電気・防爆・耐圧・材料・安全設計は、対象設備の法令・規格・社内基準・メーカー仕様に従い、専門担当者が確認してください。

ポンプ流量の単位換算とカタログ比較でよくある質問

Q1. 1 m³/hは何L/minですか?

1 m³/hは約16.6667 L/minです。m³/hからL/minへは16.6667を掛けます。

Q2. 100 L/minは何m³/hですか?

100 × 0.06 = 6なので、100 L/minは6 m³/hです。

Q3. 10 US GPMは何L/minですか?

10 × 3.785411784 = 37.8541なので、約37.9 L/minです。

Q4. 最大流量100 L/minなら、常に100 L/min出ますか?

出るとは限りません。実流量は揚程、配管抵抗、回転数、液体条件などで決まります。性能曲線とシステム曲線の交点で確認します。

Q5. 最大流量と最高揚程は同時に出ますか?

一般的な遠心ポンプでは同時には出ません。最大流量は低揚程側、最高揚程は流量ゼロ付近の別の運転点です。

Q6. 50Hz用ポンプを60Hzで使うと流量は増えますか?

回転数上昇により性能が変わる可能性がありますが、電動機・ポンプの許容条件や羽根車仕様が関係します。メーカーの60Hz曲線と使用可否を確認してください。

Q7. 揚程が同じなら、水と薬液で流量は同じですか?

密度だけが違い粘度が近い理想条件では揚程の考え方は共通ですが、圧力と動力は密度で変わります。粘度や液温が異なる場合は流量・揚程・効率も変わるため補正が必要です。

Q8. kg/hをL/minへ変換できますか?

液体の密度が分かれば変換できます。まずkg/hを密度kg/Lで割ってL/hを求め、さらに60で割ってL/minへ変換します。密度は使用温度で確認します。

Q9. ポンプの定格流量とは何ですか?

メーカーが指定した定格条件・設計点での流量です。定格揚程、回転数、周波数、液体、温度などの条件を一緒に確認します。

Q10. ポンプはBEPちょうどで選ぶ必要がありますか?

必ず完全一致するとは限りませんが、BEPとメーカーの推奨運転範囲を意識します。許容範囲はポンプ形式・用途・メーカーで異なるため、製品資料を優先してください。

Q11. NPSHRはどの流量位置で見ますか?

実際の要求流量と想定する最大運転流量の位置で確認します。NPSHRは流量によって変わるため、表の代表値だけでなく曲線を読みます。

Q12. ポンプAとBのどちらが省エネかは流量だけで分かりますか?

分かりません。実際の運転点におけるポンプ効率、軸動力、モーター効率、制御方法、年間運転時間、流量変動を比較します。

参考資料

  1. NIST Guide to the SI, Appendix B: Conversion Factors — 米国慣用単位とSI単位の換算係数。
  2. U.S. Department of Energy, Select an Energy-Efficient Centrifugal Pump — 流量・揚程曲線、効率、動力、NPSH、BEPを用いたポンプ選定。
  3. U.S. Department of Energy, Pump Selection Considerations — 要求流量・圧力、システム曲線、運転範囲を考慮した選定。
  4. Grundfos, About Pump Curves — ポンプ性能曲線に示される揚程、動力、効率、NPSHの読み方。
  5. KSB Centrifugal Pump Lexicon, Characteristic Curve — 流量に対する揚程、入力、効率、NPSHRの特性曲線。
  6. KSB Centrifugal Pump Lexicon, NPSH — NPSHとキャビテーション回避に必要な吸込条件。
  7. KSB Centrifugal Pump Lexicon, Viscosity — 粘性液を扱う場合の遠心ポンプ性能補正に関する資料。

参考資料は換算係数と一般的なポンプ選定原理の確認に使用しています。個別製品の性能・許容範囲・安全要件は、対象メーカーの最新版カタログ、仕様書、取扱説明書を優先してください。

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244divは、便利なアプリと、その利用場面に関連する実用知識を分かりやすくまとめるサイトです。 本記事は、設備・工学分野で使われる単位換算と、公開されている公的機関・ポンプメーカーの技術資料を照合し、 初めてカタログを比較する方にも確認順序が伝わるよう編集しています。

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記事区分
実用知識・単位換算
初回公開
2026年7月
最終確認
2026年7月12日
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単発の換算は、この記事の式と早見表で確認できます。L/min・m³/h・GPMに加えて、圧力、長さ、温度、動力などを日常的に扱う場合は、 単位換算アプリ「MyUnit」で同一カテゴリ内をまとめて換算できます。カスタム単位、複数ステップ計算、CSV出力にも対応しています。

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